ピアノの管理・保管方法~ ピアノにとって良い環境とは・・・? 

■9月11日

9月に入った途端に涼しくなり、過ごしやすい日になりましたね!

これでコロナによる規制がなければ、とても快適なのですが・・・

早くワクチン接種が進んで1日の感染者を二桁くらいにすることができれば、だいぶ緩和されるとは思いますが、ワクチンを打てない学生さんとかの対策はどうなるのでしょうか。色々とモヤモヤすることは多いですが、もう少し我慢が必要ですね・・・!

 

さて、今回は季節の変わり目ということでピアノの状態も変わってきますので、気候の変化でピアノがどのように変化するのかを書かせて頂きます。

ピアノは全体の大部分が天然素材でできています。木材・フェルト・クロス・スキンなどです。

こういった部品は湿気や乾燥による影響を受けやすく、きちんと管理をしてあげないとピアノに不具合がでてしまいます。湿気があるとフェルト・クロス類が膨らんで鍵盤が押せなくなってしまったり、音が出にくくなってしまいます。また、弦を叩いて音を出すためのハンマーフェルトが湿気てしまうと、音色にも影響が出てしまいます。さらに弦やその他の金属部品は錆やすくなり、最悪の場合弦が断線してしまうことも珍しくありません。

昔から「ピアノは湿気に弱い」ということは良く言われてきました。調律にお伺いするお客様も昔から調律師によく言われたそうで、ご存知の方も多いかと思います。

日本では梅雨があり、島国でもあり、どうしても湿気が多い国なので、ヨーロッパで作られたピアノにとっては悪い環境なのです。

 

しかし、反対に乾燥しすぎるのも良くありません。

最近の住宅でよく見かけるようになった床暖房ですが、これほどピアノに悪いものはありません。アップライトピアノの場合、ピアノの真下に床暖が入ると一気に木が温まってしまい、急激な温度と湿度変化によってみるみる状態が悪くなります。小さなお子さんがいるご家庭や新築の住宅ではほとんど定番のように床暖が入るようになっていますが、床暖だけは本当にご注意ください。そうです、急激な変化によってピアノは痛んでしまうんです。

ヨーロッパのように一年中乾燥していて、気候の変化が少なければ問題ないのですが、日本のように梅雨や夏場に湿度が70%以上に上がって、冬場になると急に乾燥して暖房が入ってしまうと、ピアノまわりの湿度は20%以下になることもあります。床暖に限らず、エアコンの温風が直接ピアノ本体に当たってしまうのも同じことです。

以前、エアコンの温風が直接当たる場所に移動されたピアノのメンテナンスに伺ったところ、かなり瀕死の状態となってしました。

乾燥による木材の収縮でネジが緩んでアクションからの雑音が多数出てしまい、大幅に弦が緩んだことで、半音以上も音程が低下。チューニングピンといって調律する際に回すピンも物凄く緩くなりそのままでは音程が合わせられない状態でした。

もう少しお伺いするのが遅かったら、今後調律不可能となっていたかもしれませんが、幸いなことに調子が悪くなってから早期対応が出来たので、なんとか元通りの状態に復活されることができました。ヤマハ以外のデリケートなピアノだった場合はアウトだったと思います。

そのお客様には今後の管理について丁寧に説明させて頂いたところ、すぐにピアノを温風がこない場所に移動して下さったので、今では全く問題なく毎年メンテナンスさせて頂いております!

 

このように、ピアノは変化に弱い楽器ということはお分かりいただけましたでしょうか?

理想的な温度は20度前後、湿度は50%前後となっております。

※写真の温度と湿度は、ピアノにとっては良くありません・・・!

 

加湿器・除湿器・扇風機などを駆使して1年の間変化を少なくできれば、ピアノの状態はほとんど変化することはありません。

 

半年~1年に1度は調律をご案内するのは、経年変化や使用による摩耗によって変化した調整を見直す必要があるからです。

できれば、毎年同じ季節に調律を行うと安定しやすいですし、1年を通して快適にお弾き頂けるかと思います。

2年、3年と調律をしないでいると、明らかに良い音でなくなってきますし、ピアノの寿命にも関わります。

是非、定期的なお手入れをご検討下さい!

 


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