ピアノと電子ピアノの違い

ピアノを始める

これからピアノを始めるときには、ピアノと電子ピアノのどちらで始めたら良いかで悩まれる方も多いのではないでしょうか。(※ここでは電源のいらない生ピアノのことを「ピアノ」と書きます。)

なぜ悩まれるのかというと、それぞれメリットとデメリットがあり、どちらにするにしても多少のリスクと伴うからだと思います。

それぞれの特性を整理して、ご自身の大切にしたいポイントからご判断ができれば良いと思います。

 

①大前提として、全く異なるもの

まず、ピアノと電子ピアノは似ていますが、全く別のものであるということを理解しなければなりません。

それは音色の違いです。鍵盤を押したとき、電子ピアノから出る音はピアノの音を録音したデジタル音源の再生であり、ピアノの音は実際にそのピアノから鳴った音です。

ピアノには弦が張ってあり、それをハンマーと呼ばれるものが鍵盤を押し下げることで叩きます。一方、電子ピアノにはハンマーも弦もなく、鍵盤を押し下げるとそれをセンサーが感知して、スピーカーからデジタル音源が再生される仕組みです。

絵を描くことに例えるならば、パソコンのソフトを使って画面上に描くことと、画用紙に絵具と筆で描くことと同じような違いがあります。そのため、ピアノをどのような目的で使うかがポイントになると思います。

②何を目的にピアノを弾きますか?

一言でピアノを始めるといっても、様々なきっかけがあるかもしれません。例えば、楽譜を読めるようになりたいであるとか、音感をつけたいとか、頭の体操になるからとか、美的感覚を育てたいであるとか、またピアノ曲の曲想を得る喜びを体験したいとか、またはただ漠然と・・・・人それぞれきっかけは様々であると思います。最近ではYOUTUBEでも気軽に素晴らしい演奏が聴ける時代となり、動画の影響で始めるという方も多いかもしれません。

もしこれからピアノを始めたいと思い、ピアノを持つか電子ピアノを持つかを悩んでいるとしたら、まずはどのような目的で始めるかをはっきりされることが出来たら、選びやすくなると思います。

 

③電子ピアノでできること

電子ピアノでできることは何でしょうか。上でご説明した例でいえば、

パソコンのソフトで絵を描くことで出来ること = 紙やキャンバスの質感や絵の具の質感・筆の感覚なしにやれることになります。それは譜読みや音取り、あとは楽典の勉強などにつながります。つまり、ある曲を実際にピアノで弾く前段階として、楽譜を読んで曲の大体の感じをつかむとか、その音楽がどのように成り立っているか鍵盤を用いて調べるとか、これらのことは電子ピアノで十分にできるでしょう。

 

④ピアノでないとできないこと

電子ピアノとの大きな違いはタッチによって音色が変わるということです。端的に表現すれば、ピアノでは汚い音色も美しい音色もタッチによって出すことができるということです。力強く打鍵したり、やさしく打鍵したり、打鍵の仕方で音色が変わるのです。このことは、ピアノ曲を演奏する上で大変重要なことであり、この音色の色彩が豊かなピアノを使うことで、表現力が増しピアノが上達しますし、何より演奏そのものが楽しく魅力を感じることができます。電子ピアノをお持ちでピアノに買い換える場合のほとんどの理由はここにあります。

また、人間の耳は10歳で成人すると言われています。人間の音楽についての美的感覚は、幼少時にどのような音楽体験をしたかがとても大切になってきます。

 

⑤維持・メンテナンスについて

ピアノには調律やタッチの調整が必要です。これらは湿度や温度にも左右され、継続した定期的な点検が必要で、これなしに良い状態を保つことは出来ません。

しかし逆に言えば、このような手入れを通して、常に良い状態や好みの音色・タッチを作り出すことが可能ですし、消耗部品を交換などしながら、長い間使用をしていくことができます。

対して電子ピアノでは、このような定期的な点検は通常行われません。維持費が掛かることはありませんが、当然タッチの不揃いが年々増していくことになります。壊れたら買い換えることを前提に作られている云わば電化製品と同じものです。

ピアノを持つことへの不安

本当は電子ピアノでなくピアノを持つ方が良いということは分かっていても、ピアノを所有するときには数々の不安があります。その不安があるために電子ピアノを選ぶことも多いのではないでしょうか。

ピアノを持つことへの不安は、そのほとんどが音量・重要や設置するスペース・価格についてのものです。つまり音楽的な理由ではなく、外的環境によるものです。確かに、ピアノを持っていても外的要因のために弾くことができない、または躊躇われるのであれば、あまり持っている意味がありません。

 

①音量について

ピアノの音は大きいです。ピアノを弾いていて隣の部屋に聞こえないということは、まずありません。もちろん、それはピアノに限らずほとんどの楽器全般についても同じことが言えますが、ピアノはどこかへ持っていって練習することができない分、周囲への迷惑を気にされる方が多いです。

これについては、「周囲への理解を得ること」が唯一の解決策となります。時間を守る・窓を閉めるなど基本的なことを守ったうえで、「周囲への理解」を得られれば、大きな問題につながりにくくなります。実際にそのようにしてピアノを弾いている方は、本当に大勢いらっしゃるのです。

 

②重量・スペースについて

ピアノはアップライトピアノで200~280kg、家庭用グランドピアノで300kg~350kgあります。床への負担がないかを心配される方が多いですが、普通に基準通り作られている家であれば、ほとんどの場合は問題がありません。どうしても心配な方は床を補強するとか、床に一枚パネルを敷くなどして設置します。(畳の上に置かれる方もいらっしゃいます。)置くスペースにつきましては、電子ピアノを置くことと、高さ以外はほぼ同じです。

 

③価格

ピアノの販売価格は、アップライトピアノの新品で60万円くらいから、中古で30万円くらいからあり、当然電子ピアノに比べると何倍もの価格ですので、高額な買い物になります。

しかし、冒頭にお伝えしましたように、ピアノと電子ピアノは全く異なるものです。パソコンのデザインソフトの価格と、絵の具と筆とキャンバスの値段を比較しないのと同じく、電子ピアノは電子ピアノ、ピアノはピアノと捉えることが大切です。

また、ピアノはつくりの良いものを選べば、生涯長い間使用できます。今現在でも、国内で50年以上前に製造されたピアノを変わらず使っている方が大勢いらっしゃいます。何世代にもわたり使用音がかのうができるということは、とても素晴らしいことと思います。また、つくりの良いピアノはそのように長持ちしますので、仮に使わなくなってしまったとしても、買い取り業者へ売却することも可能です。つまりピアノは財産として所有できるのです。

 

電子ピアノとピアノのメリット・デメリット

最後に、それぞれのメリットとデメリットをまとめてみたいと思います。

 

①電子ピアノ

<メリット>

・安価に手に入る

・早朝・夜間でもヘッドフォンや音量調整すれば使える。

 

<デメリット>

・デジタル音源であること

・数年で型落ちし、寿命が短い

・タッチによる音色の変化がない(誰が弾いても同じ音)

・タッチが年々不揃いになり、調整がされない

・下取り・買取価格がつきにくい

 

②ピアノ

<メリット>

・良い音で長く使える

・タッチによる音色の変化があり、より繊細な表現ができる

・下取り・買取価格がつき、財産として保有できる

 

<デメリット>

・購入費用が高額、維持費が掛かる

・音が周囲へ漏れる

・重量がある

 

以上になります。

ピアノと電子ピアノのどちらを選ぶかは、ご家庭の方針にあわせるべきですが、少しでも参考になれば幸いです。

我々調律師の立場からすると、これからピアノを始めるという方で設置環境があるのであれば、是非本物のピアノの音・タッチで弾いて頂きたいという気持ちです。

もしお役に立てることがあれば何でもご相談下さいませ。

 


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